木箱の作成準備
木箱の用途
木箱の用途は収納が目的ですが、収納する品物や使用頻度によっても作り方や組み方も変わってきます。
チョットした収納目的で、手軽に作る蓋なし木箱
すのこボックスやマガジンラック等
持ち運びが楽な軽量木箱や折りたたみが可能な木箱
強度や耐久性等、丈夫で長持ちが第一です。
貴重品や滅多に利用しないが大切な品物入れ
保管場所や湿気、防虫にも考慮が必要です。
木箱に使用する材料の種類
ホームセンターで購入できる材料の種類と特徴です。
乾燥仕上げ加工済みの杉板は軽量で肌触りが柔らかく、切断加工もしやすく、調湿機能もあり、良質な木箱制作に向いています。
只、無垢材で板巾が広くなると、反りや割れやすく、板厚も10~12ミリ程度に限定されるため、特徴を理解して利用する事が大切です。
中国産、桐の加工材は板巾や厚みの種類も豊富で比較的安価で購入でき、軽量で防虫効果もあり、保管目的の木箱に向いています。
板巾や厚みの種類も豊富で狂いが少なく、塗装をしたり自由な加工が可能で、あらゆる木箱の制作が可能です。
針葉樹合板やコンパネは重量があり、ベニヤは薄く、湿気に弱いので木箱の外枠には不向きです。
針葉樹合板やコンパネは折りたたみ可能な木箱、ベニヤは中仕切り向きです。
様々な種類の小口加工材と板材を上手く組み合わせれば、木箱の収納範囲も広がります。
木口を装飾するエッジテープや補強金物、装飾金物を利用すれば、強度や価値のある木箱が可能です。
木箱の設計図を描く
木箱に入れる品物や用途により大きさや強度、組み方も変わりますが、先ずは簡単に紙に設計図を描きます。
展開図や完成予想図を描くと更に具体的なイメージが掴みやすくなります。
材料の木だし(拾い出し)をする
設計図を描くと材料の木だしがやりやすくなります。
木箱の設計図画像の木だしを例に挙げてみます。
400×300×2枚
400×120×2枚 276×120×2枚
底板、蓋=800 側板=676(120×2=300の2枚割)
合計=1476
材料の購入方法
ホームセンターの材料は1.9m、60cm、45cm、30cm等に切り分けて売られています。
(1)300×1.9m=1枚
(2)300×45cm(3枚)+300×30cm(1枚)
同じ材料でも、小分けに切り分けられる程、価格は割高になるため、1.9mを1枚購入するのが割安になり、余った材料で、補強や補足材料に使う事が可能です。
小分け材料を切らずに利用したり、ロスを少なくする場合は、切り分け材料を上手く組み合わせる方法が考えられます。
100均の材料や、すのこを使った簡単な木箱の作り方
100均の材料を使った木箱の作り方
100均で木箱に利用出来る材料は、すのこ、小分けベニヤ板、MDF材(紙圧縮材)でしょうか。
すのこの板で側板を作り、ベニヤ板やMDF材で底板や蓋を作る。
或いは、すのこ板にベニヤ板やMDF材を貼り付ける方法があります。
100均ショップは、売れ筋商品を並べるため、木箱に利用できそうな材料がない場合もあります。
大型店舗での購入がお勧めです。
すのこを使った木箱の作り方
すのこの特徴は板間隔に隙間があり、通気性が良い事にあります。
すのこの利点を活かした工夫をすれば、お洒落な木箱も可能です。
すのこの場合、すのこの裏桟が隅になるようにカットすれば、マガジンラックや収納ボックス、フラワーボックス等に活用でき、裏桟が丈夫な木箱の役目を果たします。
すのこを活用した利用法については
たかがすのこ、されどすのこ活用12選!屋内編
をご覧下さい。
コンパネやベニヤを使った木箱の作り方
針葉樹合板やコンパネを使った折りたたみ木箱の作り方
画像は折りたたみ作業台ですが、折りたたみ木箱も作業台と同じ方法で作れば、イベントやキャンプ等で便利に使えます。
木箱の側板4枚の端から30~40mm内側に作業台中央のカット部分と同じ方法で、上2枚、下2枚の溝加工をして組み合わせます。
底板、天板は好みの大きさで作れば、折りたたみ木箱の完成です。
キャンプのテーブルやイベントでの陳列台に最適です。
作業台については、あったら便利な道具 仮設作業台 をご覧下さい。
ベニヤを使った木箱の作り方
ベニヤ板を軽量化目的で木箱に利用する場合、4mm~5.5mmの厚みが適しています。
ベニヤ板のみで木箱を作る場合は、隅部分の内側には15mm以上の角材を当て、補強する必要があります。
大きな木箱も作成可能ですが、湿気に弱いため、衣類、座布団、人形等の保管用には不向きです。
ベニヤは収納棚や収納ボックスの中仕切りにすれば便利に利用できます。
コンパネの木箱と同じ組み方で上下の溝加工して組み合わせれば、組子による中仕切りが出来ます。
溝加工の数だけ組子による仕切りが可能です。
道具箱になる丈夫な蓋付き木箱の作り方
木製道具箱の作り方
道具箱の場合、丈夫に作る事が目的です。
コンパネ等の合板材は傷や湿気で剥がれやすく、長い期間の保管用には不向きです。
杉板等の無垢材が軽量で調湿機能もあり、強度のある丈夫な道具箱に最適です。
作り方は釘やビスで箱を組み、歪みを調整しながら底板を貼り、底板に桟を止め、直接床に触れない様にすれば湿気の流入防止になります。
側板に補強板や桟を止めれば、更に強度が増し、丈夫な道具箱になります。
側板を相欠きに加工して組めば、更に丈夫になります。
道具箱になる木箱の作り方については
道具箱になる釘止め木箱、鰹節削り器の作り方 で詳しく紹介しています。
釘を使わない丈夫な木箱の作り方
釘を使わず木箱を作るには、用途によって作る方法も変わってきます。
木工ボンドで固定する
木工ボンドのみで木箱を固定する場合には、ボンド塗布面を少しでも広くするために、厚みのある板や隅部分に角材で補強する必要があります。
固定方法は、仮釘やクランプでボンドが乾くまで圧着固定をします。
塗装をしたい木箱に向いていますが、移動をよくする木箱やハードに使う道具箱等には不向きです。
小穴やアリ溝加工で組む
小穴やアリ溝加工のみで組み、技術を必要とする丁度品になる木箱です。
小穴やアリ溝加工は、トリマーのストレートピットやアリピットを使えば容易に加工が可能ですが、トリマーが無い場合は、丸鋸、ノミ、彫刻刀等を駆使して加工が出来ます。
アリ加工はアリの三角部分で引き抜きを防ぐため、柔らかい板や目の荒い板では欠けやすく、硬く目の細かい(密度のある)材料が適します。
昔は、欅、栗、樫等の木材で加工されましたが、現在は外材や集成加工材で硬い材料を選んで下さい。
釘やボンドを使わず組めるので、解体する事も可能です。
DIY 上級者や価値観を感じ意欲のある方は挑戦してみて下さい。
小穴加工と木工ボンドを併用する
小穴加工と木工ボンドを併用すれば、狂いのない丈夫な木箱を作る事が出来ます。
引き出し付きや、扉を付けたい木箱に最適です。
材料も小穴加工だけであれば、杉や桧、タモやパインの集成材での利用が可能です。
アリ加工には自信はないが、小穴加工に挑戦したい方は、トリマー、溝シャクリカンナ、小穴カッター、丸鋸、手ノコ、ノミ、彫刻刀等、持ち合わせの道具で加工が可能です。
小穴加工と木工ボンドを併用する木箱の作り方については
木箱による鰹節削り器の作り方で
詳しく紹介しています。
木製貴重品箱(木箱)の作り方
漆喰仏像保管用木箱の作成
イメージ図の様な寸法の木箱を作成しますが、内寸のサイズですので、板の厚みを考慮して広い板が必要になります。
杉板の木取りと加工
木箱の作成には厚さ12ミリ、巾300ミリと厚さ15ミリ、巾240ミリの杉板を使用します。
巾300ミリの杉板は底板と天板、巾240ミリの杉板は側板と補強用に使います。
荒木の杉板の両面を自動カンナ盤で削ります。
節や傷跡をできるだけ避けて木取りをして長めに仮切断しておきます。
木取りした深さ230ミリに使用する巾240ミリの杉板を巾230ミリに加工しておきます。
木取りをした杉板の表面の綺麗な木表面を外側の見える面にしたいので、手かんなで仕上げをかけます。色艶や手ざわりがプレナ仕上げとは大きく変わります。
これで、正確な板厚が決まりました。
寸法通りに切断します。
内寸270ミリの板は画像の様に直角に270ミリに切断します。
内寸360ミリの板は板厚2枚分長めに切断します。
板幅と板厚の直角か否かで木箱の組立精度が変わってきますので、最も大切なポイントです。
底板も正確に切断します。
木箱の組立
木箱の組立には長さの違う真鍮釘を使い、木工ボンドを併用して固定します。
隅補強金物は最後に取付けます。
木箱の蓋は木箱の外寸法より2~3ミリ広い内寸法にして加工、組立ます。
木箱の蓋(天板)は目立ちますので底板より綺麗な板を選んで下さい。
蓋が出来れば木箱に被せ、木箱の補強をします。
木箱の補強により柔らかく弱い杉板の木箱と蓋の割れや反り、狂いを補います。
補強板は持ち手の役目も果たします。
最後に金物で隅部分を補強して完成です。
補強金物は装飾の意味合いで使用していますので、無くても補強板だけで、充分耐えられる作品に仕上がっています。
文字入れによる木箱の価値
我が家に残る昭和初期の手作り木箱です。
中身は木皿や茶器などと様々ですが、文字入れされている事で木箱に愛着があり、価値観を感じています。
大工の親父からのワンポイントアドバイス
底板の直角切断に合わせて木箱を固定しよう!
蓋や補強板寸法は木箱の現物当たり寸法で少しずつ順番に切断していこう!
木箱の蓋の種類と作り方
上開き木箱の簡単な蓋の方法です。
蓋の裏側に側板内側に添って角材や板を止めれば、蓋が動きません。
蓋板には、捻れや反りの無い板を選んで下さい。
木製貴重品箱で紹介した、蓋に外枠を作り、被せる方法です。
木箱内部の気密性が保たれます。埃や虫の侵入を防ぎたい木箱に最適です。
道具箱になる釘止め木箱、鰹節削り器の作り方で紹介した、やり送りの仕組みです。
開閉や作成も簡単で道具箱や手軽に利用する木箱に最適です。
横開きの木箱で丁番を付けて、両開きにします。
神棚や人形ケースをイメージして下さい。
強度のある扉を付ける場合には、大きめの丁番が取付可能な側板の厚みが必要になります。
横開きの木箱で上から小穴の溝に添って蓋を下にスライドさす方法です。
小穴の代わりに角材や細い板で溝を作る事も可能です。
蓋の材料はベニヤ板やMDFも利用できます。
木箱の作り方まとめ
木箱に限らず、作品作りには他の作品の作り方を応用するアイデアや工夫が大切です。
技術も慣れる事で向上しますが、それ以上に根気と丁寧さが技術をカバーしてくれます。